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深井 勝麿; 白石 健介
日本原子力学会誌, 25(2), p.123 - 125, 1983/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.29(Nuclear Science & Technology)中性子照射損傷の模擬試験としてイオン照射実験を行う場合、イオン照射によって試料中に生じる欠陥の分布についてよく調べておかなくてはならない。溶体化処理した316ステンレス鋼に24MeVのヘリウム・イオンを照射した後750Cで1時間熱処理し化学エッチをすると照射面から107mの距離に2本の平行線が現われる。この2本の線は、照射試料の断面の電子顕微鏡組織観察で観られる、2列に並んだフランク型の転位ループに対応している。このフランク型の転位ループは、照射後熱処理した試料に生じるヘリウム気泡が分布する領域の両側に生じるものであり、ヘリウムの気泡の分布は室温で入射したヘリウムの分布とそれほど異っていないので、化学エッチで観られる2本の平行線の中心線が入射ヘリウムの平均の飛程を表わすものであると結論できる。このようにして測定したステンレス鋼中のヘリウムの平均飛程は22~32MeVのエネルギー範囲で計算によって求めた値とよい一致を示す。